株式投資を始めると直面するのが確定申告です。
投資で得た利益には税金がかかり申告が必要です。多くの投資家にとっては面倒な作業ですが避けられません。
記事では株式投資における税金から確定申告の流れまでを解説します。記事を読むと確定申告が理解でき、賢く節税する方法がわかるでしょう。
源泉徴収ありの特定口座を利用する場合、確定申告が不要になることがあります。株の譲渡益や配当金には税金が課されます。株式で損失を出しても損益通算などを活用すると節税が可能です。税金の知識を活用して確定申告をしましょう。
株式投資と確定申告の基礎知識
株式投資と確定申告は投資家にとって重要なテーマです。
株式投資によって得られた利益は税金の対象なので適切に申告する必要があります。
- 株式投資での利益・損失と確定申告の関係
- 確定申告の基礎知識
- 特定口座と確定申告の関係
株式投資に関わる確定申告の基礎知識を学んでいきましょう。
株式投資での利益・損失と確定申告の関係
株式投資で利益が出た場合は所得とみなされ税金を支払う必要があります。売却による利益は「譲渡所得」として所得税と住民税の対象です。利益が20万円を超えた場合は申告義務が発生します。
他の所得と合わせて年間総所得が一定額を超えると申告が必要です。損失が出た場合、一部の他の所得と相殺できる「損益通算」があります。残った損失は将来の利益と相殺できる「繰越控除」ができ、将来の税負担を軽減できます。
特定口座で源泉徴収されている場合、基本的に確定申告は不要です。
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確定申告の基礎知識
確定申告とは年間を通じて得た所得について税金を計算し、国に報告する手続きです。所得とは仕事や投資で得たお金のことで、所得に対して税金を支払います。税額が適正であるかの確認が行われ、払い過ぎの税金は戻る仕組みです。
確定申告は以下の日程で行われます。
- 日本では確定申告は毎年1回ある
- 前年1月1日から12月31日の所得に対する申告をする
- 申告期間は翌年の2月16日から3月15日まで
株式投資の利益は基本的に申告分離課税です。以下の場合は確定申告をしましょう。
- 源泉徴収されない所得がある
- 損益通算や繰り越し控除を使う
- 配当所得がある(受け取り方によって要否が異なる)
確定申告は自営業者だけでなく、給与の源泉徴収を受けているサラリーマンや公務員も対象です。副業などで一定額以上の収入があれば申告が必要です。給与所得者の特例により、特定の条件下では免除される場合もあります。
税金の負担を軽減するには所得控除の適用が重要です。基礎控除や配偶者控除、扶養控除などを利用できます。申告から納税までをオンラインで行える電子申告(e-Tax)が推奨されています。手間を省きつつも迅速な確定申告が可能です。
特定口座と確定申告の関係
特定口座は株式取引を行う際に利用する口座で税金の計算を簡単にします。口座を活用すると確定申告が容易です。
特定口座には二つのタイプが存在します。
- 「源泉徴収あり」は税金が自動で納付され確定申告がいらない
- 「源泉徴収なし」は自分で確定申告と納税をする
特定口座でも、他の所得がある場合や税率に変更がある場合は確定申告が必要です。損益通算や繰り越し控除などを利用する場合も確定申告が必要です。特定口座の年間取引報告書で自分の取引内容を理解し、適切に確定申告を行いましょう。
特定口座を開設する際は、自分の投資スタイルや所得状況を考慮しましょう。選択を誤ると後々の確定申告で余計な手間がかかるので注意してください。
» 証券口座とは?4つの口座と選び方
株式投資の確定申告のタイミング
株式投資の確定申告は期間を正しく把握しておくことが重要です。
株式投資で利益が出た場合原則として確定申告が必要ですが、例外もあります。
- 利益が出たときの申告
- 損失を出した場合の申告
状況によって必要な対応が変わるので詳細を確認していきましょう。
利益が出たときの申告
株式投資で利益が出た場合、確定申告が必要な場合があります。年間の株式譲渡益が20万円を超えると確定申告が必須です。計算は年間の合計額に基づいて行われます。
利益が出た場合は注意が必要です。特定口座も源泉徴収ありとなしで対応が異なります。源泉徴収ありの特定口座の場合は確定申告が不要です。源泉徴収なしの場合は必ず申告を行う必要があります。
確定申告の期間は原則として翌年の2月16日から3月15日です。配当所得と譲渡所得の損益通算が可能です。
損失を出した場合の申告
損失を出した場合の申告は将来的な節税効果があるため重要です。申告で損益通算が可能になり、利益が出た際に損失を相殺できます。
確定申告を行うと翌年以降3年間、損失を利益に対して繰り越し相殺する繰越控除を利用できます。損益通算を行う場合も申告が必要です。特定口座で源泉徴収ありの設定でも申告の必要があります。
損失申告をする際は取引報告書や損失金額が分かる証拠の準備が大切です。手続きを適切に行うと損失を将来の利益に活かす節税戦略を立てられます。
株式投資の税金
株式投資による利益は課税されます。
税金について以下に解説します。
- 譲渡益課税
- 配当課税
- 源泉徴収
- 損益通算と繰越控除
譲渡益課税
譲渡益課税は株式やその他の資産を売った際の利益に対してかかる税金です。株式投資で買った株を高値で売ると差額が譲渡益となり、利益に課税されます。日本は株式の譲渡益には一律20.315%の税率が適用されます。
投資利益の一部は納税が必須です。特定口座の源泉徴収ありを使用すると、自動で納税されて続きが簡素化されます。一般口座で年間20万円以上の利益がある場合は確定申告が必要です。損失が発生した場合は、損益通算や繰越控除を利用して税金を軽減できます。
非課税制度を利用すると特定の条件下で譲渡益が税金から免除されます。新NISAなどの制度を賢く活用すると税負担を減らすことが可能です。
配当課税
株式投資で得られる配当は配当課税がかかります。配当金は一律20.315%の税率が適用されます。
配当金を受け取る際のポイントは以下のとおりです。
- 特定口座の源泉徴収ありにすると自動で税金が引かれる
- 一般口座の場合は確定申告が必要である
- 配当控除の制度が利用できる
配当控除は所得金額に応じて控除額が設定されて、控除後の金額に対して課税されます。海外の株式からの配当は税率や租税条約が異なり計算が複雑です。外国税額控除を活用すると国内での二重課税を避けられます。
株式投資からの配当は配当所得として別枠で処理されるため、確定申告の際には注意が必要です。適切な税金の納付には、配当課税のルールを理解しておきましょう。
» 高配当株投資入門ガイド
源泉徴収
源泉徴収は税金を支払うべき所得から税金を差し引く制度です。株式投資を行う際も源泉徴収が適用され、配当金に対しては一定の割合が税金として引かれます。
特定口座の源泉徴収ありの場合、譲渡益についても対象です。税金は確定申告を行う際に納税額として計算されます。特定口座で源泉徴収ありを選択すると基本は確定申告が不要です。
源泉徴収された税金が多い場合は確定申告を通じて税金の還付を受けられます。源泉徴収票は確定申告を行う上で重要な書類の一つで正確な申告のために必須です。
損益通算と繰越控除
損益通算は一年の間に得た利益と損失を相殺することです。繰越控除は損失を次年度に持ち越しができます。
損益通算は以下のポイントがあります。
- 同一年内の利益と損失を相殺する
- 所得税の課税額を減らす
繰越控除は以下がポイントです。
- 損失が利益を超えた場合に翌年以降にその損失を繰り越す
- 最大3年間有効で期間内に利益が出た場合に使用できる
株式取引の損失は他の所得と簡単に通算できないケースも多いです。金融商品取引所を通じて行われた売買に関しては注意しましょう。損益通算や繰越控除を利用するために確定申告が必要です。取引に関する正確な記録が必須です。取引報告書は失くさないようにしましょう。
確定申告の流れ
確定申告は毎年行う重要な手続きで株式投資を行っている場合は注意が必要です。
事前に準備を進めることが欠かせません。
- 確定申告前に準備すること
- オンライン申告(e-Tax)の手順
- 手書きで申告する場合の流れ
準備が必要なものと手順について解説するので参考にしてください。
確定申告前に準備すること
確定申告をスムーズに行うためには、事前準備が重要です。
以下が準備のポイントです。
- 昨年1年間の取引報告書を準備する
- 源泉徴収票を収集する
- 配当金の明細を準備する
- 損益通算を行う場合はすべての口座の取引報告書を集める
- 医療費控除、住宅ローン控除などの領収書や証明書を準備する
マイナンバーカードや個人番号の確認を忘れずに行いましょう。オンラインで申告をする方はe-Taxの利用登録や、ソフトウェアをセットアップが必要です。手書きで申告する場合は確定申告用紙や計算用紙、筆記用具の準備をします。
還付金がある場合に備えて、口座情報と振込先の準備も忘れてはいけません。申告期限を確認して全ての準備を完了させる計画を立てましょう。
オンライン申告(e-Tax)の手順
オンラインで確定申告を行う際はe-Taxの使用が必要です。
e-Taxは国税電子申告・納税システムのことで自宅から確定申告ができます。
- e-Taxソフトをダウンロードしてインストールします
- マイナンバーカードを準備する
- カードリーダーまたはスマートフォンを準備する
- マイナンバーカードまたはID・パスワードでログインする
- e-Taxソフトを使用して申告書を作成する
- 必要な書類をデジタル化し、申告書に添付する(取引報告書、源泉徴収票など)
- 証券会社から提供される取引データをe-Taxソフトにインポートする
- 作成した申告書を内容確認し、必要事項を修正・確定する
- 申告書に電子署名をしてe-Taxシステムに送信する
送信後に受付番号や受付通知を確認して記録しておくことが大切です。e-Taxを通じて納税が可能な場合は手続きを進めます。
手書きで申告する場合の流れ
手書きで申告する際の第一歩は、確定申告用紙の入手です。税務署で直接もらうか、国税局のウェブサイトでダウンロード可能です。
以下の手順で進めましょう。
- 必要な添付書類(取引報告書、源泉徴収票等)を準備する
- 株式譲渡所得の計算を行い、所得金額を算出する
- 確定申告書に必要事項を記入する
- 生命保険料控除、社会保険料控除などの計算をして記入する
- 書類に不備がないか再確認する
- 申告書類を郵送、または直接税務署に提出する
直接提出した場合は受領証明書の受け取りを忘れないようにしましょう。申告が正式に行われた証明です。以上の手続きを適切に行うと株式投資に関する確定申告が完了します。
確定申告に必要な書類
年末になると確定申告の準備が始まります。
スムーズな申告のために必要な書類を揃えておくことが重要です。
- 取引報告書・損益計算書
- 預金口座の利息に関する源泉徴収票
- 給与所得の源泉徴収票
- 住民税決定通知
- 保険料控除証明書
- 医療費控除の領収書
- 寄付金控除の証明書
- 雑損控除に関する書類
- 住宅ローン控除証明書
- 扶養控除等に関する書類
- 所得・控除の情報を証明するその他の公的書類
所得や控除に関する公的書類は確定申告の際に求められます。株式にかかわる書類は別に必要なので、見ていきましょう。
取引報告書や源泉徴収票
株式投資において取引報告書や源泉徴収票は重要な書類です。
取引報告書は以下がポイントです。
- 証券会社から年間取引のまとめとして提供される
- 売買の詳細、売買益・損失、取引日時などが記載されている
- 特定口座は年間の損益が通算されている
- 税務上重要な書類である
源泉徴収票は以下のポイントがあります。
- 配当金に対する税金が源泉徴収された証明書である
- 徴収された税金の額が記載されている
- 申告時の控除資料として使用する
2つの書類は正確な税務申告には欠かせません。受け取ったら紛失しないように保管してください。
損益通算に必要な書類
株式投資で損失を合算する損益通算は重要です。
計算を行うために書類の準備をしてください。
- 全ての証券口座の取引報告書
- 配当所得の源泉徴収書
書類を準備することで確定申告時に株式投資の損益を正確に通算ができます。
まとめ
投資を行う際は税金の支払いや税務手続きが避けられません。確定申告を通じて税金を適切に納める必要があります。最終的な精算は確定申告を行うことで完了します。
株式投資の利益を最大化するために税金の知識は必須です。損益通算と繰越控除を活用しましょう。
- 譲渡益課税
- 配当課税
- 源泉徴収
- 損益通算と繰越控除
特定口座を使用すると税金の処理が簡単です。また、確定申告する際には、株式の取引報告書や源泉徴収票などの書類の準備が必要です。オンラインまたは手書きでの申告手続きを行います。投資に関する税金の知識と確定申告の準備をしましょう。株式投資による資産運用を効果的に行えます。
» 株式投資の始め方5ステップ