S&P500過去90年の利回りと複利を活かす投資戦略を紹介【長期投資がおすすめ】

S&P500過去90年の利回りと複利を活かす投資戦略を紹介【長期投資がおすすめ】
  • S&P500の利回りってどのくらい?
  • どのような戦略で投資すればいいのか知りたい
  • S&P500への投資で失敗しないための注意点を知りたい

近年S&P500に連動する投資信託やETFが増えており、利回りが気になっている方は多いです。しかし利回りだけを気にしていると、市場価格が下落したときの対応ができません。不適切なタイミングで投げ売りしてしまう危険性もあります。

この記事では、S&P500の利回りと投資戦略を解説しています。この記事の内容を理解すれば、正しい投資戦略がわかるので、市場が不安定になっても対応可能です。

S&P500の利回り

S&P500は「配当利回り」と「総利回り」の2つの要素があります。

配当利回り
株式に対して受け取る配当金の割合を示す指標です。
配当利回り(%) = (年間配当金 ÷ 株価) × 100
総利回り
配当利回りに加え、株価上昇による利益も計算に入れた「リターンの総額」です。長期的な投資成果を見るために重要になります。
総利回り(%) = ((期末の株価 + 受取配当金 – 期初の株価) ÷ 期初の株価) × 100

S&P500への投資判断をするには、配当利回りだけでなく総利回りも考えることが重要です。長期的に安定した投資収益を目指すなら、必ず覚えておきましょう。

S&P500のような成長市場では、配当金よりも株価上昇による値上がり益(キャピタルゲイン)の方が、大きなリターンになることが多いです。長期目線で投資するなら、配当利回りよりも総利回りを重視しましょう。

S&P500の平均利回り

S&P500は長期で安定した利回りを維持しています。現在までの平均利回りを知っておけば、将来の投資成果を予想するのに役立ちます。配当金だけでなく株価上昇による利益も考えておきましょう。

過去90年間のデータを分析すると、年平均総利回りは約10%です。インフレ率を考慮した実質年間リターンは約7%になります。

あくまで過去の平均であり、将来のリターンを保証するわけではありません。しかし、過去のデータは将来の投資判断をするための貴重な目安になります。

S&P500の利回りの推移

S&P500の利回りは、好調な時期もあれば大幅に下落した時期もありました。S&P500の利回りは、以下のようなさまざまな要因によって影響を受けます。

  • 経済状況
  • 金融政策
  • 市場心理

過去の事例から、どのような状況でS&P500の利回りに変動があったのかを知っておきましょう。

1980〜1990年代
高いインフレ率を背景に利回りが5%以上に上昇することもありました。
2000年代初頭
ドットコムバブル崩壊後、利回りは下落し、その後の年間利回りは平均して2%前後を推移。
2008年
リーマンショック後、S&P500の利回りは一時的に上昇。その後は量的緩和政策や低金利環境の影響を受けて再び低下しました。
2020年以降
COVID-19パンデミックによる市場の混乱時には、利回りが一時的に上昇。しかし、迅速な市場回復に伴い低下傾向に戻りました。

S&P500を利用した投資戦略

S&P500への投資で考えられる3つの投資戦略を紹介します。

  • パッシブ投資
  • アクティブ投資
  • アセットアロケーション戦略

パッシブ投資

パッシブ投資は、市場の平均的なリターンを目指す投資戦略です。長期的な視点を持ち、市場全体の成長に投資することで、安定した利回りが期待できます。

パッシブ投資では、特定の個別銘柄は選びません。S&P500指数に連動するインデックスファンドやETF(上場投資信託)に長期投資すれば、低コストで資産運用ができます。パッシブ投資のメリットは以下のとおりです。

  • 低コストで運用できる
  • 投資範囲が広いので分散投資になる
  • 複利の力を効率よく使い、安定感のある投資ができる
  • 銘柄選定や売買タイミングを考えなくてもいいので手間がかからない

長期投資を前提とした戦略なので、短期的な価格変動は気にしないことが重要です。コストと手間をかけず、安定感のある投資をしたい方におすすめの投資戦略です。

パッシブ投資には安定感はありますが、市場平均以上のリターンは期待できません。さらに高い利回りを求める方は、別の投資戦略を考えましょう。

アクティブ投資

アクティブ投資は、市場平均を上回る成績を目指す投資戦略です。S&P500の中で成績のいい銘柄を個別に選んで投資することで、市場平均を超えるリターンを目指します。アクティブ投資のメリットは以下の2つです。

  • 市場平均以上のリターンが狙える
  • 市場の変化に応じて柔軟な対応ができる

アクティブ投資は、運用者のスキルと市場分析能力によって、成績が大きく変わります。投資タイミングや銘柄選定も重要になるため、上級者向けの戦略といえます。自身のポートフォリオへの影響と、リスク許容度を慎重に考えてから投資をしましょう。

アクティブ投資は、市場平均を下回る成績になる場合が多いとの研究結果があります。パッシブ投資よりも運用手数料や取引コストが高くなり、利益が少なくなる可能性もあります。資金が用意できない方にはおすすめできない戦略です。

アセットアロケーション戦略

S&P500への投資は、アセットアロケーション戦略を考える場合にも有効です。資産をいくつかの種類に分け、それぞれにどれくらいの割合で投資するか決めることを「アセットアロケーション」といいます。資産の種類は以下のとおりです。

  • 債券
  • 株式
  • 現金
  • 不動産
  • ゴールド

S&P500を異なる資産と組み合わせると、バランスの取れたポートフォリオになります。S&P500の資産クラスは「株式」です。S&P500に連動するインデックスファンドに投資しておけば、株式部分の中核として活用できます。

S&P500は、米国の主要な上場企業500社から構成されています。S&P500に連動するインデックスファンドや、ETF(上場投資信託)を購入すれば、安定感のあるポートフォリオが作れます。リスク許容度や投資目標に応じて、資産配分を調整しましょう。

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S&P500の利回りを左右する要素

S&P500の利回りは、以下のようなさまざまな要素によって左右されます。

  • 経済的サイクル
  • 金利・インフレ率の上昇
  • 政治的・地政学的リスク

経済的サイクル

S&P500の株価には、経済的サイクルが大きく影響します。経済的サイクルとは、経済活動が拡大と縮小を繰り返す周期的なパターンのことです。経済全体の動向を理解し、適切な投資判断をするために重要になります。経済的サイクルは大きく分けると、以下のような流れになります。

  • 経済成長期
  • 後退期
  • 回復期

経済成長期では、企業の利益や消費活動が活発になり、株価が上昇します。後退期になると、企業の利益が少なくなり株価の減少につながりやすいです。経済サイクルの段階によって、S&P500の利回りに与える影響が違います。投資計画を決めるときは、今の経済サイクルがどの周期なのか考えておきましょう。

金利・インフレ率の変動

金利やインフレ率の変動でも、S&P500の利回りに影響があります。

金利が上昇するとき
資金の借り入れコスト増加や、安全資産への資金移動が起こるため株価が下落しやすいです。S&P500の利回り低下にもつながります。
インフレ率が上昇するとき
企業の購買力の低下や、人件費の上昇が発生するため、企業収益に影響が出ます。業績悪化により配当金の支払いができなくなった場合、S&P500の利回りが下がりやすいです。

最終的に中央銀行が、政策金利の調整や資産購入などの施策を行い、金利とインフレをコントロールします。S&P500に投資する場合、景気の状況と中央銀行の動きをチェックしておきましょう。

金利やインフレ率の変動が必ずしも、マイナス要因なわけではありません。金利低下により企業の借入コストが減少し、新たな投資や消費活動が促され、株価にプラスの影響を与えることもあります。

政治的・地政学的リスク

政治的・地政学的なニュースは、S&P500の利回りに大きな影響を与えます。利回りに影響のあるニュースは、以下のとおりです。

  • 政治的な紛争
  • 貿易摩擦
  • 政権交代
  • 政府への不信感
  • テロリズムや政治的抗議活動

政治的・地政学的リスクは常に存在しているので、予測するのは難しいです。しかし、リスクを理解して適切なリスク管理ができれば、もしものときの損失を最小限に抑えられます。S&P500に投資する際は、世界情勢や政治的ニュースをチェックして、自分なりに理解しておきましょう。

すべての政治的ニュースが株価に悪影響を与えるわけではありません。ポジティブなニュースがあれば期待値が高くなり、株価が上昇することもあります。市場の状況や投資家心理まで考えておくと、急な株価変動にも対応できます。

S&P500投資の注意点

S&P500に投資するときの注意点は以下の3つです。

  • 投資のリスクを考える
  • 長期投資を意識する
  • 税金がかかる

投資のリスクを考える

投資には常にリスクがあることを覚えておきましょう。以下のような、さまざまなリスク要因を理解することが重要です。

  • 経済の衰退
  • 金利変動
  • インフレリスク
  • 為替リスク
  • 政治的なリスク

投資リスクを完全に予測はできません。不測の事態が起きたときのために、資産を分散させてリスク管理をしましょう。事前に対策をしておけば、株価が下落した場合でも適切な対応ができます。

資産を分散させる場合は、特定のセクターや銘柄に集中し過ぎないように気をつけましょう。不動産や債券など、異なる資産クラスに投資すれば効率的にリスクを分散できます。

長期投資を意識する

S&P500に投資する際は、長期投資を意識しておきましょう。長期投資には次のようなメリットがあります。

  • 複利効果で効率よく資産を増やせる
  • インフレによる購買力の低下を緩和できる
  • 安定した利回りが期待できる

1番のメリットは複利効果を活かせる点です。株式の運用方法には「複利」と「単利」の2種類があります。

複利
投資で得た利子や配当金を再投資して、合計額にも利子がつく仕組みです。投資期間が長いほど効果が大きくなります。
単利
最初の元本にのみ利子がつく仕組みです。常に同じ元本をもとに利子が決まるため、運用期間が長くなっても得られる利子は変わりません。

100万円を年利5%で運用した場合、1年後の資産は105万円になります。複利の場合2年目は、105万円に利子がつきます。単利の場合は、2年後以降も元本の100万円にしか利子がつきません。複利効果を活用すれば、雪だるま式に資産が増えていきます。

複利は長期投資でこそ、効果を最大限発揮できます。短期間で売買を繰り返すと、複利効果が使えず投資効率が悪くなることを覚えておきましょう。

税金がかかる

S&P500に投資する場合、利益に対して20.315%の税金を支払う必要があります。内訳は「(所得税15%+復興特別所得税0.315%)+住民税5%」です。

S&P500への投資で、年間の利益が20万円以上なら、確定申告が必要です。確定申告を忘れた場合は「還付申告」をすれば、納めすぎた税金を取り戻せる可能性があります。放置すると納めすぎた税金が戻ってこないだけでなく、ペナルティが課されるリスクがあります。

証券口座開設時に「特定口座(源泉徴収あり)」を選べば、確定申告が不要です。自身の口座を確認しておきましょう。

NISA口座でS&P500に投資すれば、利益に対する税金がかかりません。NISA (少額投資非課税制度)は、投資による利益が非課税になる制度です。国が推奨しているお得な制度なので、投資初心者の方は利用してみましょう。

投資に関わる税制度は今後も変更になる可能性があります。いつ変更されても対応できるように、最新情報をチェックしましょう。

まとめ

S&P500の利回りについて覚えておきたいことは以下の3つです。

  • 「配当利回り」と「総利回り」を理解する
  • 適切な投資戦略を考える
  • リスクを理解して長期目線で投資する

S&P500は長期投資を前提に投資をすれば、年平均で7〜10%の利回りが期待できます。おすすめの投資先は、S&P500に連動するインデックスファンドか、ETF(上場投資信託)です。低コストで安定感のある運用ができます。

S&P500への投資を考えている方は、投資のリスクや最適な投資戦略への理解が重要です。この記事を参考にして、効率よく投資を進めていきましょう。

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