- 投資信託を始めようと思っているけど、手数料ってどのくらいかかるんだろう…
- いろいろ手数料があるみたいだけど、どのタイミングでどのくらいかかるの?
- 手数料を比較するポイントを教えてほしい!
投資信託を選ぶ際、どのくらい手数料がかかるかの把握はとても重要です。手数料をしっかり把握できていないと、せっかく投資をしても全然利益が得られないことにもなりかねません。
この記事では、投資信託の手数料の種類と運用成績に与える影響を解説します。記事を読めば、無駄なコストを削減して運用効率の良い投資信託を選べるようになるでしょう。
投資信託の手数料には、購入時や換金時に発生する直接的な手数料と、運用に伴って発生する間接的な手数料があります。長期投資では、手数料が積み重なると最終的な利益に大きな影響を与えます。手数料と運用成績のバランスが適正な投資信託を選びましょう。
投資信託の手数料
投資信託を選ぶ際、どのような手数料がどのくらいかかるかを把握することはとても重要です。手数料の種類を理解し、投資スタイルにあった投資信託を選びましょう。
投資信託の手数料の種類
投資信託にかかる手数料は大きく分けて、直接的な手数料と間接的な手数料があります。
手数料の種類 | 直接的な手数料 | 間接的な手数料 |
支払うタイミング | 購入・売却時 | 保有中継続的に発生 (運用成果から差し引かれる) |
例 | 購入時手数料(申込手数料) 換金時手数料(解約手数料) | 信託報酬 |
投資信託によって実際にかかる手数料は異なります。どの手数料がどのくらいかかるかを比較することで、目的にあった投資信託を選べます。
投資信託の手数料を比較するポイント
投資の目的や期間、リスク許容度を考慮して、手数料の低い適切な投資信託を選択してください。
短期間の投資の場合は購入時や換金時に発生する手数料がリターンに大きく影響します。一方で長期的な投資をする場合には、運用中に発生する信託報酬の方が大きな影響力を持ちます。
投資信託のリターンと手数料のバランスからコストパフォーマンスを評価し、手数料に見合ったリターンがあるかを判断しましょう。自分の投資戦略に合った投資信託の選択で、手数料負担を最小限に抑えられます。
投資信託の直接的な手数料
投資家が直接負担する手数料は、主に購入時手数料と換金時手数料の2つです。厳密には手数料ではありませんが、換金時に信託財産留保額がかかることもあります。
投資信託ごとに異なり、同じ運用内容のファンドでも違いが生じるため、慎重な比較が必要です。
購入時手数料(申込手数料)
購入時手数料は購入金額に応じて発生する費用で、通常0~5%の範囲内で設定されるのが一般的です。
100万円分の投資信託を3%の手数料で購入する場合、103万円を支払うか、手数料分を差し引かれた信託口を受け取ります。
購入時手数料が不要なノーロード・ファンドもあります。初期費用を安く抑えたい場合にはおすすめです。
換金時手数料(解約手数料)
換金時手数料は投資信託を売却する際に発生する費用です。
購入した投資額や換金額に基づき、特定の割合で計算します。運用会社や商品によって金額は異なり、手数料がかからない商品もあります。保有期間が長いほど手数料が低くなる商品もあり、長期保有をする場合はおすすめです。短期保有の場合は損失が大きくなるので注意しましょう。
信託財産留保額
信託財産留保額は運用会社が受け取る手数料ではありませんが、投資信託を解約する際に支払う費用です。運用会社が解約した人に代金を支払うためには、投資信託内の資産の一部を売却する必要があります。売却時に発生した費用を、運用中の人に負担させずに解約者本人に支払ってもらうための制度です。
基準価額の一定の掛け率が解約代金から差し引かれます。投資信託によって掛け率は異なり、信託財産留保額がない投資信託もあります。
投資信託の間接的な手数料
主な間接的な手数料は信託報酬です。運用中に日々かかる手数料のため、長く運用をするほど大きな影響を与えます。
信託報酬
信託報酬とは、投資信託の管理を行うために運用会社が投資家から受け取る手数料です。長期的な投資成果に大きな影響を与えるので必ず確認するようにしましょう。運用資産の残高に対して、一定の比率で日々信託財産から差し引かれます。
報酬率は投資信託によって異なり、アクティブファンドはインデックスファンドよりも高い傾向にあります。信託報酬には運用管理費のほか、監査費用などが含まれている場合もあります。内容をきちんと理解しておきましょう。
アクティブファンドとインデックスファンドとは?
インデックスファンドは、日経平均株価など特定の指数に連動する投資信託です。一方アクティブファンドは特定の指数を上回ることを目指す投資信託です。アクティブファンドの方が人的コストがかかるため、手数料が高くなる傾向にあります。
信託報酬の計算方法
信託報酬は純資産総額に信託報酬率をかけて計算します。信託報酬率は年率で設定され、投資信託の目論見書や説明書に記載されています。必ず確認をしてください。
信託報酬の計算は日割りで行われ、毎日信託財産から差し引かれます。
計算式は「純資産総額×信託報酬×消費税÷365」です。総資産総額が100万円、信託報酬が1%の場合は「100万×1%×1.1÷365=約30円」となります。
年間信託報酬の例
100万円を投資して信託報酬が年1%の場合、1年間の信託報酬は10,000円となります。信託報酬率が0.5%の低コストのファンドでは、年間の信託報酬は5,000円となり半額に抑えられます。
投資期間が長くなるほど、信託報酬の累積額も大きいです。長期間投資するつもりであれば、信託報酬が低いファンドを選びましょう。
運用に伴うその他の費用
運用に伴うその他の費用としては下記が挙げられます。
- 監査費用
- 印刷・発送費用(運用報告書など)
- 登録料・申請料(金融商品取引法に基づく手続き費用)
- 外部評価機関への評価依頼費用
- 法定公告費用
- 受益証券の保管に関する費用
投資信託によってどの費用を投資家が負担するかは異なります。目論見書を読んで、何のコストがどのくらいかかるのかをきちんと把握しておきましょう。
手数料の高低が運用成績に与える影響
手数料の高低が投資信託の運用成績に大きな影響を及ぼします。
長期投資におけるコスト
長期投資では、手数料のわずかな違いが複利効果によって大きな差異を生むため、注意が必要です。
複利効果とは?
運用で得た利益を元本にプラスして再投資をすることで、利益が利益を生み資産が膨らんでいく効果です。投資期間が長いほど元本が増えるため、運用益も増加していきます。
時間が経つほど、手数料の影響は増大するため、長期投資にはインデックスファンドなどの手数料の低い商品が適しています。手数料が低いほど、長期投資における累積リターンが大きくなります。
コストパフォーマンス
投資信託を選ぶ際にはコストパフォーマンスの見極めが大切です。コストパフォーマンスの良し悪しは、手数料だけでなく運用成績も含めて総合的に判断します。
手数料が低い投資信託があっても、運用成績が悪ければ総合的に見てコストパフォーマンスは良くないと言えます。手数料がやや高めでも、長期的に安定した高い運用成績を出している投資信託は、コストパフォーマンスが良いと言えるでしょう。
手数料と運用成績の両方を長期的な視点で比較し、自分の投資期間や目的に合った投資信託を選択することが求められます。投資成果を最大限に引き出すためには、適切な手数料で、長期的に安定した成績を維持できる投資信託を見つけることが重要です。
投資信託で手数料以外にかかるコスト
投資信託には手数料以外にも下記コストが発生します。投資の成果に直接影響を与えるため、しっかり理解しておきましょう。
- 税金:分配金や売却益に対する税金
- 為替変動によるコスト:外貨建て資産の場合、為替レートの変動による損失
税金の負担
定期的に受け取る分配金と売却時に発生する譲渡益の両方に対し、20.315%の税率で課税されます。所得税が20%、住民税が5%に加えて、2037年までは復興特別所得税が0.315%所得税に上乗せされています。
投資信託の利益は下記の場合を除き、確定申告が必要です。
- 源泉徴収ありの特定口座を使用している場合
- 投資信託で得た利益が年間で20万円以下の場合
- 投資信託で損失が出た場合
非居住者の場合は、税金の計算方法や税金の支払い方が異なるので注意しましょう。
為替リスクによるコスト
為替リスクは、外貨建て資産を持つ際に注意が必要です。為替の変動は投資信託の利益や損失に直接影響を及ぼします。
投資対象国の通貨に対して、円高になると投資リターンは減少します。円安になればリターンは増加しますが、為替の変動を予測することは難しいです。為替リスクを軽減する為替ヘッジファンドの選択も可能ですが、為替ヘッジにはコストがかかる場合があるので注意しましょう。
為替ヘッジとは?
先物取引や信用取引などを活用し、為替変動による影響を抑える仕組みです。
長期投資の場合、時間の経過とともに為替リスクは平滑化されますが、短期的なリスクを避けることはできません。
手数料を抑える投資信託の選び方
手数料が低い投資信託を選べば、投資金額の大部分を実際の運用に充てられるため、コストパフォーマンスが高まります。手数料を抑える手段について紹介するので参考にしてください。
ノーロード・ファンドを選ぶ
ノーロード・ファンドは購入時に手数料がかからない投資信託です。コストを抑えて投資を始められるため、投資初心者や少額から投資を始めたい方には特におすすめです。
購入時手数料だけを見て投資信託を選ぶことは避けましょう。信託報酬や運用実績・ポートフォリオの内訳も必ず確認して、自分の目的にあったものを選ぶようにしてください。
インデックス型投資信託を選ぶ
インデックス型投資信託は、日経平均株価やTOPIXなど特定の指数に連動する投資信託です。特定の指数を上回ることを目指すアクティブ型投資信託と比べて、人的コストがかからないため手数料が安くなる傾向があります。
長期投資に大きな影響を与える信託報酬も低くなる傾向があるため、長期投資に適しています。投資先が明確なため、自分の投資がどのように運用されているのかを簡単に把握できる点も大きなメリットです。
投資信託の手数料に関するよくある質問
投資信託の手数料に関するよくある質問について解説します。
手数料がゼロのファンドは本当にお得?
手数料がゼロのファンドは、表面的にはコストがかからないように見えますが、実際には隠れたコストが存在する場合があります。運用にかかるコストやパフォーマンス手数料、その他の管理費用が発生することもあるため、注意が必要です。
手数料がゼロでも運用成績が劣っていれば、実質的なリターンは低くなります。運用戦略や運用成績をしっかりと確認しないと、実際のコストパフォーマンスは見えません。
手数料の有無だけでなく、総合的なリターンやリスク、ファンドの透明性も踏まえて選択しましょう。
高い手数料を払うメリットはある?
手数料のコストを上回るパフォーマンスを出せる投資信託もあります。
手数料が高い投資信託では投資の専門家が市場の動きを解析し、ポートフォリオの頻繁な調整をしています。特定の市場やニッチな投資領域に特化している場合、深い知識と経験が必要とされるため手数料が高くなりがちです。
手数料が変わることはある?
手数料は変動する可能性があります。変動の要因例としては下記が挙げられます。
- 規制の変更や経済情勢の変化
- ファンドの運用成績
- 投資家の反応
- 新しい投資スタイルの導入
まとめ
投資信託は、手数料をしっかりと理解した上で選定することが大切です。投資信託の手数料には、購入時や換金時に直接払う手数料と、運用に伴って発生する間接的な手数料があります。手数料以外にも税金や為替リスクによるコストが発生します。
信託報酬などの間接的な手数料は運用資産から引かれるため、運用成績に与える影響は大きいです。特に長期に渡る投資では手数料が積み重なり、大きな差となって現れます。手数料と運用成績のバランスが適正な、コストパフォーマンスの良い投資信託を選びましょう。